【スタッフブログ】ガット(ストリング)を知ってパフォーマンスUP!!
~スタッフブログ~
東京都調布市にあるテニススクール
桜田倶楽部・東京テニスカレッジ
テニスで本物を目指す
こんにちは。桜田倶楽部・東京テニスカレッジで一般・ジュニアレッスンを担当している藪内です。
みなさんが快適にプレーする為、または最高のパフォーマンスを発揮する為に必要な条件は何でしょうか?
調度よい気温?得意なコートサーフェス?新品のボール?色々あると思いますが、その快適で(気持ちよく)最高のプレーを実現させる為に張りたてのフレッシュなガットの重要性をご存知ですか?
今日はその知ってそうで意外と知られていないガットの世界を覗いていきましょう。
#1 みなさんが張っていた物は実はガットではなかった!?
ガットとは英語で「GUT」と書きます。つまり腸を意味します。
現代ではラケットに張り上げる糸は主に合成繊維(ナイロンやポリエスエステル)がメインとなっておりますが、昔(40年以上前を境くらいでしょうか)はこの天然繊維の腸を紡いだ糸(ガット)をラケットに張り上げるのが主流でした。その流れを汲んで現在も「ガット」と呼ばれております。
しかしながら現代の一般プレイヤーのほとんどの方はナイロンやポリエステル等を原材料とした合成繊維を使用していますので正しくは「ガット(腸)」ではありません。この事からラケットを張り上げる糸の事を総称して「ストリング」と呼ぶのが正しいと言われています。
#2 知らないうちにガットを食べていた!?
さてこのガット(腸)ですが何の動物の腸だと思いますか?
実は牛の小腸を使用しています。そうです。焼肉屋さんで人気のホルモン「マルチョウ」(牛の小腸)がガットの正体なんです。
しかし焼肉とは違いラケットを1本張り上げるには約12m前後の長さが必要となりますので、1張あたり牛3頭分必要となります。
ちなみに望月コーチぐらいの世代の方はナチュラルガットの事を「シープ」と呼びます。
これはナチュラルが現在の牛の腸を使用する以前は羊の腸を使用していたからです。
#3 テニスの歴史とガットの関係
ではなぜナチュラルガットが羊から牛に代わっていったのでしょうか?
その答えはテニスの発祥と歴史にありました。
テニスの発祥は諸説ありますが、今回はガットのお話ですのでこれはまたじっくりとお話させてもらいます。
さてイギリスで大きく広がった「テニス」と言う近代スポーツは他に遊戯がなかったその時代、いよいよ貴族だけでなく庶民にも親しまれるようになり爆発的に広がりを見せると共に道具の供給と言う問題が浮上してきました。
当時インドはイギリスの植民地となっており、イギリスの最大の生産能力であり心臓部分でした。そこにガットの供給を求めた訳です。インド人はその80%がヒンズー教徒で
ヒンズー教徒は牛を食する事が厳しく禁じられている為、その代わりに羊を数多く飼っておりました。その為イギリス文化のテニスは羊の腸を使用したと言われています。
なお、その後テニスの大きな広がりがオーストラリアやアメリカに移りそれと共にナチュラルの供給も牛へと変わってきたと言う事です。
#3 ストリングの王様
16世紀中ごろより使用されてきた天然繊維のナチュラルガットですが、これを合成繊維で実現すべく各社その成分を調べ研究を重ねてきました。
しかしながら21世紀の最先端技術をもってしてもナチュラルの独特なフィーリングやタッチは合成繊維では実現する事が出来ず、フェデラー選手や錦織選手を始め世界のトップ選手が今もなおナチュラルを愛用しています。
お店で購入すると合成繊維ストリングが1張2,000円~3,500円に対し
ナチュラルは安いもので6,000円弱。平均的には8,000円~9,000円と大変
高値で販売されております。
それにも関わらず今もなお世界のトッププロやテニス愛好家が愛してやまない事から
「ストリングの王様」と呼ばれています。
一度使うとその独特で唯一無二の打球感とタッチにはみなさん驚くと思います。
テニスを愛する人間として一生に1度はこの「ナチュラル」を張ってみる事をおすすめします。
桜田倶楽部でもお取り寄せ可能ですので興味がある方は是非ご相談下さい。
では次回はテニスの発祥についてお話しようと思いますので是非また読んでみて下さい。
桜田倶楽部東京テニスカレッジ 藪内